- 齋藤隆文
まぶたのたるみ治療を笑顔で終えるための3つのポイント
最終更新: 2020年11月10日
形成外科専門医の齋藤隆文といいます、
東京の聖路加国際病院と加藤クリニック麻布で形成外科と美容外科をしています。
”まぶた”という臓器は、お顔の印象において最も重要なパーツといえると思います。
この記事では、私が専門の一つとしている、
上まぶた、下まぶたの美容外科、アンチエイジング治療、またケガや病気による変形でお悩みの方に、
まぶたの治療で外科医が大切にしていることをご紹介します。
お久しぶりの投稿です。
最後の投稿が6月なのを見て、コロナによる手術制限があった5,6月を思い出しました。
制限が解けて一気に手術枠が埋まり、日々の手術に追われ、気づけば少しずつ秋を感じるようになっています。
さて、忙しいのを言い訳にせず、コツコツ更新して参りますので、よろしくお願い申し上げます。
まぶた周りの複合手術について
今回は、やや複雑な、まぶた周りの複合手術についての投稿です。
お師匠さんの影響を多分に受けて、ぼくのところには修正手術の相談の方が多くいらっしゃいます。修正手術に求められるのは、正確な手術手技だけでなく、今起こっているトラブルの原因を、正しく診断し、治療プランを立てることにあると思っています。
健康なまぶたや鼻をきれいな形に整えることと、不自然な形や、左右差のある状態に壊されてしまったまぶたや鼻を正しく整えていくことは、難易度が格段に違ってきます。
そして、そういった修正の治療経験を重ねていくことにより、
まぶたがいかに複雑な構造をしていて、皮膚、脂肪、筋肉、粘膜、引いては骨や眼球の位置関係までもがお互いに影響しあいながら形を保っているかを思い知らされます。
手術としてはシンプルな切開重瞼や皮膚切除によるたるみ取りも、こういったことをちゃんと診断して治療プランやデザインに反映してもらうことが重要です。
まぶた周りの複合手術の実際
まず最初に質問です。こちらは患者さんの術後写真です。ある理由により、通常は起こらない非対称がお顔の一部に現れているのですが、みなさんわかりますか?
1分ほど写真をじっくり眺めて、見つけ出してみてください。

みなさん、わかりましたか?
この患者さんは、顔面神経麻痺、という顔の半側が動きにくくなる病気により、主に顔の上半分の左右差が出てしまい、こちらの改善を希望してご相談にいらっしゃいました。
修正手術の原則と同じで、疾患による形態のトラブルが出ている場合にも、正しい診断なくして良い結果は期待できません。なぜなら、形態の変化には麻痺だけが影響しているわけではなく、それのみにアプローチをしても、治療としては十分な効果は望めません。
ただ左右差を改善させるだけでなく、
"自然に、美しく、バランスよく"
整えてあげられるような治療プランをご提案したい。
このように考えると、麻痺による表情筋の複雑な変化だけでなく、エイジングによる変化、併存する眼瞼下垂の影響、などを総合的に診断し、手術計画を立てる必要があります。
今回の治療では、
眉毛を左右対称な位置に戻し、
まぶたの皮膚のバランスを整え、
まぶたの開きを改善
しています。




さて、先ほどの質問の答えですが、手術的に右の眉毛を挙上しているため、おでこのシワは前頭筋が収縮して眉毛が上がっている左にしかありません。右のおでこがツルっとしているのがわかるかと思います。美容外科でおでこのシワにボトックスを打つ変化に近いです。
最後に、、、
原因が美容手術であれ、病気であれ、エイジング変化であれ、術後の自然な美しさを取り戻したお顔で、嬉しそうに話してくれる患者さんの姿は、なにものにも変えがたいやりがいを感じ、日々の努力が報われる思いになります。
手術は難しく、もちろんいいことばかりではありませんが、ぼくの周りにいる外科医の先生方もまた、皆同じような気持ちで日々の治療に取り組んでいると思います。
ちなみに、まぶたの治療に関しては、下記でもでも取り上げています。
施術内容: 皮膚切除による眉毛挙上術、眉毛下皮膚切除術、眼瞼下垂症手術(挙筋前転)
手術費用: 上眼瞼形成手術 約45万円(自費手術の場合)
保険適応の場合は定められた保険点数に従って費用が決まります。
リスク:一時的な腫れ、内出血、感染、傷が開く、後戻り、ドライアイ、左右差、違和感の残存、など
聖路加国際病院 形成外科 月曜日・金曜日 初診外来 予約制
加藤クリニック麻布 不定期の木曜日・土曜日 初診外来 予約制