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シリコンで失敗した鼻整形のよくある修正パターン5つを写真で見る

形成外科専門医の齋藤隆文といいます、東京で形成外科と美容外科をしています。

シリコンインプラント、プロテーゼによるお鼻の手術(俗にいう隆鼻術)。

シリコンインプラントによる隆鼻術はアジア各国で鼻の整形手術の中心的な存在となり、現在に渡ってたくさんの合併症と共に手術方法の改善が進みました。そして、上手に使う方法、絶対に避けなくてはならない使い方について多くの論文が報告し、世界的にも標準化が進んでいます。みんながその知識を共有しています。シリコンには避けた方が良い使い方、よくある失敗例、があります。こういった使い方を避けて安全性の高い手術を受けることが大事です。

今回はそれらの失敗例の中で、シリコンインプラントの術後でよくある、修正したくなるパターンについて、実際のお写真を見ながら治療の流れをご紹介します。

シリコンインプラントのよくある失敗パターンは

① 鼻根部が高すぎるアバター鼻になる

② 鼻先が低いまま

③ 豚鼻、短鼻になって鼻の穴が見えやすくなった

④ 曲がってしまった

⑤ 透けたり凹凸が目立つ

などです。そしてこれらは術後しばらくしてから出てくる場合もあります。

これらの失敗パターンはきちんと修正することが可能です。

この記事ではそれぞれの修正方法について全て詳しく解説しています。

その後に、実際の症例写真で治療の変化をお見せしていますので、細かい解説が苦手な人は下までスクロールしてください。

なお、シリコンプロテーゼについては、以下の記事でも詳しく解説しています。


*シリコンプロテーゼの術後トラブルの原因は?知るべき4つのこと


*シリコンが鼻から飛び出す?隆鼻プロテーゼが感染したあなたへ

シリコンの基本的な知識に加えて、トラブルが起きた場合の対処法についての内容になります、合わせてお読みください。

シリコンプロテーゼ・ゴアテックス・オステオポールなどの術後によくある“形のトラブル”

早速ですが、先にあげた形のトラブルについて、一つ一つ説明していきます。

先に説明しておきたいことがあります。これから出てくるトラブルの原因がL型プロテーゼである場合には、原則としてプロテーゼは抜去し、鼻先については様々な鼻尖形成術を用いて形を整え、鼻筋は何も入れないか、自分の軟骨や脂肪などの自家組織を使うか、あるいはI

型プロテーゼに入れ替えることをお勧めします。

① 鼻根部が高すぎるアバター鼻になる


まず最初の原因は、そもそも入れるシリコンプロテーゼのデザインが正しくないケースです。その人の鼻の形から理想的なデザインをする必要があり、この時点で間違っているともうどうしようもありません。ドクター選びは大事です。次に、術後の変形が起きるケースです。

シリコンプロテーゼはI型であってもL型であっても、基本的には上に上がっていくリスクがあります。そしてL型プロテーゼの方が圧倒的にそのリスクが高くなることが論文でも複数報告されています。表情の変化によるお顔の皮膚や筋肉の動きが常にシリコンプロテーゼに動かす力として作用することなどが原因です。また、手術の際に適切な位置、深さに挿入されていない場合にもこの動いてしまうリスクが高くなります。

I型プロテーゼの場合には正しいデザインに修正し、正しい位置・深さに入れ直すことで修正が可能です。

② 鼻先が低いまま


プロテーゼを入れたのに希望する形にならなかったと相談に来る人で多い不満の一つがこれです。

I型プロテーゼだけだと、高くなるのは鼻筋部分だけです。ざっくりと言えば、鼻の真ん中から上半分だけの部分が高くなります。つまり、これを修正する場合には、鼻先に対する手術を追加する必要があります。

そして、L型プロテーゼの場合には手術直後は鼻先が高くなります。しかしながら、上や下、左右に動いてしまうことで徐々に鼻先が低くなってくることが多いことが知られています。修正は上に述べた通りです。

③ 豚鼻、短鼻になって鼻の穴が見えやすくなった


これも基本的には①の原因と同じです。シリコンプロテーゼが鼻先を一緒に引き上げるように上に滑り上がってしまうので、鼻先は指で下から押し上げられたかのように変形します。

I型の場合には正しく再挿入するだけで元々の鼻先の形までは戻る可能性がありますが、通常は鼻尖形成術を一緒に行うことでよりバランスの取れた形を目指します。

④ 曲がってしまった

⑤ 透けたり凹凸が目立つ


これらについては最初にリンクを貼った記事でとても詳しく解説していますので参考にしてください。


感染を伴ったL型プロテーゼをどう治療したか?

さて、前回の記事の続きです。まずは術前のお写真です。





プロテーゼの感染については前回の記事で詳しく解説しています。この方は口の中にできものができたという全然関係のなさそうな理由で歯科クリニックを受診しています。歯科では腫瘍が疑われ画像検査が行われ、ぼくのところに紹介されました。診察してみるとマイルドな発赤と熱感があり、感染を疑いました。口の中には確かに腫瘍のようなピンク色のできものがありましたが、これは腫瘍ではありません。口の中や鼻の穴の中にプロテーゼが出てきた場合、出てきた部分が小さいと肉芽“にくげ”というお傷治しに関わるピンクのお肉で無理やり覆われてできもののように見えていることがあります。このあたりの診察については、キズに関する正しい知識を持った形成外科か美容外科専門の先生に診察してもらうことをお勧めします。

この時点で、私は抜去を提案しました。しかしながら諸事情によりどうしてもすぐに抜去するのは難しいと言われてしまいました。ここが医療の難しいところです。患者さんごとに、その方の背景や環境に応じて最適の治療プランを一緒に考えさせていただくしかありません。

抜去できない場合は、①膿が溜まっているかどうか、と、②原因となっている細菌はなにか、について適切な診察と検査を受けた後、③“適切な”抗生剤の治療が始まります。①と②と③の全てが重要です。

この方は抗生剤治療により感染兆候は全て消失しました。

しかし、これで治療は終わりではありません。やはり、このおかしな形を修正したい。

感染の原因となった細菌は完全にいなくなったかどうかまではわかりません。前回の記事で説明した通り、感染が落ち着く前はもちろん、落ち着いたあともインプラントの入れ替えはハイリスクです。この方は、全て自分の組織を用いての修正手術を希望されました。


よくある失敗パターンは、どのように修正されるのか

ここからは形のお話です。今回の患者さんは、上に挙げた典型例5パターンが全て入っていたのでお写真のご協力をお願いしました。きれいになったお鼻で爽やかにご快諾いただき、感謝申し上げます。

感染リスクを考えると、治療プランはいくつか考えられます。ですので、リスクと叶えられる形によって複数のプランをご提案させていただくことになります。あくまでこの方のケースはこうなった、という程度に読んでください。

まず、写真を使ったシミュレーションでなりたい形のゴールを作成します。修正手術の場合は中の状態をC T検査とM R I検査で確認します。この時点でプランが決定し、本人が納得すれば治療に進みます。一つ一つ、ステップを踏みながら大事な決定を進めていきましょう。


ちなみに、CT検査ではシリコンプロテーゼはこんな風に入っていました。曲がっていますし、随分と上に上がってしまっています。




手術は全身麻酔です。いわゆるオープンアプローチから開始します。まずL型プロテーゼを抜去します。こういった典型的な失敗が同時に起きている場合には、鼻の軟骨も前回の手術で切れてしまっていたり変形していることが多いです。この方も、まず損傷された部分を丁寧に直していきます。

この時点でアバター、凹凸は改善しました。術前の画像検査で元々の鼻に曲がりが少しあることがわかっていたので、これを修正しました。あとは鼻先の位置と鼻全体の高さ、幅の調節です。

が、その前に、必要な軟骨を採取します。右の胸に1.5〜2cmの切開をして、通常4〜5cmの肋軟骨を採取します。丁寧に傷を縫います。また、必要に応じて耳の裏側に2cm前後の切開をして、耳介軟骨を採取することもあります。この方は肋軟骨も耳介軟骨も採取しました。

あとは、デザインに応じた治療です。

この方のデザインには鼻中隔延長術と、肋軟骨をメインとした鼻背部への自家組織移植術で形を作りました。

術後のお写真です。




なんとか、修正手術後も感染を起こすことなく落ち着きましたが、この手の治療は危険がいっぱいです。感染は患者さんにとってはもちろん、外科医にとっても本当に辛い合併症です。

感染に対する治療には、感染を正しく診断すること、洗浄処置・抗生剤を正しく行うこと、これらの治療で感染が本当に治癒する状況にあるのかを経過を見ながら判断し、必要に応じて次のステップに治療を進めていくこと、が求められます。感染症治療は進歩を続けており、特別な病気を持っている人を除いては、適切な処置と抗生剤治療でほとんどの術後感染はコントロールできるようになってきています。

ぼくは、これらの知識・技術を形成外科の診療を通してアップデートしています。

手術の前に大事にしていること

画像検査で中の構造を細かく確認します。

お顔の左右差、全体のバランスを一緒にお写真で見ながら、患者さんとその方の自覚している”曲がっている”を共有できるように努力しています。曲がりを修正していく中で鼻の高さや長さについてももちろん変化が起きるので、ご自身が認識されているお顔の特徴・コンプレックスを確認して、手術による変化でそれらが悪い方向にいかないかを確認します。こういったことを確認するツールとして強力な武器となるのが、写真を使ったシミュレーションです。写真を手術に沿って修正していきながら、術後の形のイメージを事前に共有しておくことで、患者さんにも手術による変化に対する心の準備をしてもらうようにしています。

*手術には常にリスクが伴います。術前に主治医から丁寧な説明をしてもらいましょう。

・施術内容:

インプラント抜去、鼻中隔延長術、鼻尖形成術、隆鼻術、肋軟骨・耳介軟骨採取

・費用: 約70〜100万円(上記の術式を組み合わせた場合)

これ以外に、検査費用・麻酔費用・入院日数により入院費用がかかることがあります。

・リスク:

術後出血、再感染、傷が開く、曲がりや変形の残存、後戻り、など


聖路加国際病院 形成外科 月曜日・金曜日 初診外来 予約制

加藤クリニック麻布 不定期の木曜日・土曜日 初診外来 予約制

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©2020 by 斉藤隆文 お顔の治療を専門医とする形成外科美容外科医師。Wix.com で作成されました。