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  • 齋藤隆文

見た目と機能と眼瞼下垂治療 

最終更新: 4月26日


形成外科専門医の齋藤隆文といいます、東京で形成外科と美容外科をしています。


まぶたが重くて困っている、目が疲れやすくなった、肩こりや頭痛がある、おでこのシワがひどくなった、などの症状でお悩みではありませんか?もしかするとその原因は眼瞼下垂かもしれません。


この記事では、私が専門の一つとしている眼瞼下垂治療についてご紹介します。


眼瞼下垂の症状とは?

さて、眼瞼下垂については、改めて説明しなくても、ネットで検索すればとても丁寧な解説サイトがいくらでも出てきます。

形成外科や眼科の専門医が説明しているものを読めば、その概要はだいたい理解することができます。

ここでは、僕が普段患者さんに説明している言葉でできるだけ簡単に、説明してみたいと思います。

私のところに眼瞼下垂かも?と受診される患者さんは、主に

  • まぶたが重い

  • 見えづらい

のどちらか、あるいは両方で困っておられる方がほとんどです。


まぶたが重い、開けづらい、という方はその時点でまず眼瞼下垂を疑います。


”見えづらい”ことで困っている場合には、指で上まぶたを持ち上げて、”見えやすく”なれば、それも眼瞼下垂を疑います。


このどちらかの方は、どうぞ相談にいらっしゃってください。

まぶたを持ち上げても改善しない場合には眼球そのものの問題の可能性が高くなりますので、まずは眼科の先生に診てもらいましょう。


眼瞼下垂の原因

では次に、その原因です。

私が所属している日本形成外科学会のガイドラインでは、眼瞼下垂を

1) 神経原性:a. 中枢性(脳血管障害,脳腫瘍など),b. 動眼神経性(動眼神経麻痺,ギラン・バレー症候群など),c. 交感神経性(Horner 症候群など)

2) 神経筋接合部性:重症筋無力症,ランバート・イートン症候群(LEMS),ボツリヌス中毒,ボトックス注射後など

3) 筋原性:筋緊張性ジストロフィー(MD),顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー,眼咽頭筋ジストロフィー(OPMD),ミトコンドリア病,慢性進行性外眼筋麻痺(CPEO)など

4) 腱膜性

5) 機械性:a. 皮膚弛緩症,b. 腫瘍性(眼瞼腫瘍など), c. 炎症性(眼部帯状ヘルペス,霰粒腫,結膜炎など),d. 瘢痕性(外傷性,Stevens-Johnson 症候群後など)

6) 偽性下垂:皮膚弛緩症,後天性下斜視,眼球陥凹など7) その他:眉毛下垂性,心因性,開瞼努力欠如性など

というように分類しています。もちろんこれでは全く理解できません。

患者さんのほとんどは4の腱膜性下垂がベースとなっています。多くは加齢によって起こりますが、コンタクトレンズを長期で使用していたり、瞼をこする癖のある方はリスクが高いと言われています。ほとんどの患者さんがこれに当たります。

ここでお伝えしたい大事なことは、こんなにたくさんある分類の細かな内容ではありません。

それは、年齢のせいだと思っていたまぶたの重みが、別の病気が原因で起きていた場合にそれをきちんと診断してもらうことです


これはやはり、形成外科や眼科の専門医の先生にきちんと診察してもらうことが重要です。私の患者さんでも、お聞きした患者さんのお話からMRI検査をして脳に腫瘍が見つかったケースもあります。診断はネットの記事に頼らず、プロに任せましょう。


眼瞼下垂の症状

では、腱膜性眼瞼下垂の患者さんには、“見た目”と“機能”にどんな変化が現れるのでしょうか。典型的な症状とイメージ図をお示しします。

見た目では、



まぶたが開かなくなってくる(眠たそうな目)

眉毛でまぶたをあげようとする(高く上がった眉毛)

そのせいでおでこにシワがよる(おでこの深いシワ)

という変化が起こり、イメージ図のようになります。

瞼の中の機能としては、



まつ毛の生えているまぶたの縁の辺りの皮膚の下に、けんばんと呼ばれる固い板があり、 これにまぶたを引き上げるための筋肉が付着しています。この付着が緩んだり、筋力が弱 くなることでうまく作用しなくなり、まぶたが開かなくなった状態が眼瞼下垂です。


あとは見た目の変化として上まぶたの脂肪が眉毛と一緒に上がっていくことに加え、けんばんから外れてしまった筋肉と一緒に、その上に乗ったまぶたの脂肪が眼球の奥の方に引き込まれるため、上まぶたが凹みます。いわゆる眉毛の下のくぼんだ影です。


このあたりになると、患者さんは、たしかに〜、とか、言われたまんまの顔してる、、、

とか、ご自身と照らし合わせて眼瞼下垂の理解が一気に深まる方が多いです。

その他に、頭痛肩こりのような種々の症状も起こってきます。特に、眉毛を引き上げる筋肉が緊張することが原因の一つとされている緊張型頭痛に対しては、眼瞼下垂の治療が有効となる場合があることが、ガイドラインでもはっきりと明記されています。

さて、ここまでが診断のお話でした。次に治療のお話に移ります。


眼瞼下垂の治療

タイトルに挙げた通り、眼瞼下垂の治療では、この”見た目”と”機能”のトラブルを可能な限り元の状態に戻してあげることが目標となります。

眼瞼下垂の治療については、点眼薬の研究が行われていたり今後画期的な方法が開発される可能性はありますが、原則は手術です。ただし、これについても、手術適応(手術をすべきかどうかの判断基準)についてのガイドラインがあります。

手術治療を要する眼瞼下垂症の基準として,下記が推奨される。

定量的評価基準として;

・正面視時MRD 1 が2 mm 以下 

・上方視野の欠損角が12 度ないしは24% 

・下方視時のMRD 1 が2 mm 以下となる読字が困難となる下方視時の眼瞼下垂 

定性的評価基準として; 

・上眼瞼の下垂に起因する機能障害の患者側からの訴え 

・上眼瞼に起因する視野狭窄によってもたらされた顎上げ症状 

・上眼瞼に起因する視野狭窄によってもたらされた職業上の不都合や安全上の不都合 

・上眼瞼の下垂に伴う不快症状,目の緊張,視野狭窄

簡単に言えば、


黒目の真ん中から上まぶたの縁まで2mmなかったら手術したほうがええよ!

まぶたが重くて辛いな~と思ったら先生に相談して、その原因が眼瞼下垂やって診断されたら手術を考えてもいいよ!


っていう感じになります。なので、まぶたの重さで困ってたら基本的には手術を勧められることになります。

僕がここで大事にしていることは、


  1. 手術で起こるかもしれない機能のリスクを理解していること

  2. 手術で起こるかもしれない見た目のリスクを理解していること


の2点です。 機能については、“よく開く”ということの副作用のようなものです。今までよりもよく開くようになるので、乾きやすくなります。今までよりも閉じにくくなるので眼の表面が傷つきやすくなります。なので、そういった症状がもし出てしまったら嫌だな、と思ったら主治医とよく相談して決めてください。

少しだけ瞼が重いだけでそこまで困っていないのに、術後に眼の違和感が残るのはとても辛いことです。

あとは、もともとドライアイがある人は、必ず眼科の先生ともよく相談してください。ぼくの患者さんは、必ず眼科の先生にOKをもらっていただくようにしています

見た目については、上記のような加齢性変化ともとれる症状が改善するので基本的には良い方向に向かいます。

ですが、一重の人が二重になるようなデザインや、二重の人の二重の幅を変更するようなデザインの場合は、ご自身の、いわゆる”あなたらしい”まぶたの印象が大きく変化する可能性があります。どのような変化が起こるのかは主治医のデザインによって決まります。よく説明を受けてください。

僕は、まぶたの治療を習った尊敬する先生の教えを守り、

  1. 人間の、特に日本人のまぶたの構造をきちんと理解し、そこから自然と作られるふたえのラインを守ってデザインすること

  2. 可能なら、その人のまぶたがまだしっかりと開いていた時のお写真を見せてもらい、できるだけそれを再現できるように努力すること

  3. まぶたは左右ふたつあり、細かな左右差などで修正を要する可能性があるため、常に修正が可能な方法で治療すること

ということを大事にして治療に当たっています。

なので、基本的には”まぶたのふたえの線や自然なシワに沿ったラインで切り、まぶたの中を丁寧に確認、上記のような板と筋肉の付着を調整することでまぶたの開きを改善、それ以外は中の構造はできるだけ崩さないで閉じてくる“よう努力しています。


最後に

最後に、僕が所属している聖路加国際病院で患者さんへの説明のために作成したパンフレットをお示しします。

基本的なスケジュールと、よくあるご質問についても載せていますのでぜひ参考にしてください。




次回は

次回の記事では、実際の患者様のお写真を元に眼瞼下垂症の治療について説明したいと思います。


こちらの患者様のまぶた、眉毛、おでこのしわ、先ほどご紹介した眼瞼下垂の症状が強く出ていますね。






手術を経てどうなっていくのでしょうか、、

具体的な診療の流れが知りたい!

という方は、ぜひ次の記事も参考にしてくださいね。



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